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ソフィア・コッポラ監督がオペラ演出に初挑戦!
『ソフィア・コッポラの椿姫』をTOHOシネマズ 日本橋で10月に2週間限定公開~全国順次公開
                              

■フランシス・フォード・コッポラを父に、エレノア・コッポラを母に持つサラブレッド、ソフィア・コッポラ監督が初めてオペラの演出に挑戦。それを映像化した『ソフィア・コッポラの椿姫』が10月にTOHOシネマズ 日本橋で2週間限定ロードショー公開。その後全国で順次公開される。


Photo©Yasuko Kageyama(4点とも)

■ソフィア・コッポラ監督は、もともとオペラに関心があったわけではなかった。オペラ体験と言えば子どものころ両親に、地元ニューヨークのリンカーンセンターへ連れていかれた記憶くらい。しかも退屈で眠ってしまったという。リンカーンセンターのオペラハウスというと恐らくメトロポリタン歌劇場。子どものころからメトに出入りするなんてなんて贅沢な!と思うのは大人だからであって、オペラ好きな子どもなど滅多にいないだろうから、眠ってしまったとしても不思議ではない。

■さらに、大人になってオペラとの距離が縮まったわけでもなかった。それでも引き受けたのはこのオペラのタイトルロール「椿姫」=ヴィオレッタの衣装を手がけたファッション界の大御所、ヴァレンチノ・ガラヴァーニの誘いを受けたから。そして主人公が女性だったことなども作用して、未知の世界であるオペラ演出の世界に足を踏み入れることになった。
一方のヴァレンチノはソフィア・コッポラ監督の代表作『マリー・アントワネット』(06年)を観て感銘を受けていた。よく知られた歴史上の人物が登場するこの時代劇を、ソフィアはただのコスチューム劇にすることはなかった。独特のポップ感覚を取り入れながらみごと現代にリンクさせ、クリエイターとしての存在感を十分アピールした、そんな作品だった。


■映画監督とオペラ演出というとフランコ・ゼフィレッリやルキノ・ヴィスコンティあたりがよく知られている。ほかにリリアーナ・カヴァー二やパトリス・シェロー、チャン・イーモウ、リナ・ウェルトミューラーなどだろうか。今回あらためて調べてみるとウディ・アレンやアトム・エゴヤンなど意外な名前も。そしてなんとフランシス・フォード・コッポラ監督も1970年代前半にオペラの演出を手がけていたようなのだ。72年10月に米サンフランシスコ・オペラのために、オーストリア出身の作曲家ゴットフリード・フォン・エイネムの「老婦人の来訪」というオペラを演出した記録が残っている。72年というと彼がブレイクした『ゴッドファーザー』を制作した年ではないか。当時のことをもっと知りたく思った。

■父フランシスが手がけたマイナー作品に比べ、ヴェルディの「椿姫」は最もポピュラーなオペラ作品のひとつ。ローマ歌劇場のためにソフィアが演出したプロダクションは昨年2016年5月24日にこけら落とし公演が行われ、ソフィア演出×ヴァレンチノ衣装ということもあって、初日にはモニカ・ベルッチやキーラ・ナイトレイら映画界のセレブたちが駆けつけて話題になった。
華麗なヴァレンチノの衣装、ソフィアが得意とする同時代感覚、そしてシンプルで洗練されたネイサン・クロウリーの舞台美術。クロウリーは『プレステージ』や『ダークナイト』などを手がけてきた映画畑の売れっ子舞台美術家で、ソフィア自身が白羽の矢を立てた。全体を統括するソフィアのソフィスティケートされたアートセンスは、父親よりもむしろ母親エレノア・コッポラゆずりなのかもしれない。

■主役ヴィオレッタはソプラノのフランチェスカ・ドット、その恋人アルフレードはテノールのアントニオ・ポーリ、そしてアルフレードの父親ジェルモンはバリトンのロベルト・フロンターリ。このソフィア・コッポラ版ローマ歌劇場「椿姫」は、予定通りならドットとポーリの主役ふたりもそのままに来年2018年9月、日本での引っ越し公演が決まっている。                                        
                                                     (2017年8月25日 記 NorikoYamashita)



オペラ演出中のソフィア・コッポラ監督

 



Staff&cast(舞台)
演出:ソフィア・コッポラ
衣装:ヴァレンチノ・ガラヴァーニ/マリア・グラツィア・キウリ/ピエールパオロ・ピッチョーリ
舞台美術:ネイサン・クローリー
指揮:ヤデル・ビニャミーニ
合唱指揮:ロベルト・ガッビアーニ  
出演:フランチェスカ・ドット(ヴィオレッタ)/アントニオ・ポーリ(アルフレード)/ロベルト・フロンターリ(ジェルモン)
2016年イタリア(141分) 原題:LA TRAVIATA
配給:東北新社
2017年10月6日(金)からTOHOシネマズ 日本橋
(2週間限定)ほか全国順次公開




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